大阪地方裁判所 昭和44年(ワ)1367号 判決
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〔判決理由〕一、事故
請求原因第二一(一)ないし(四)の事実は当事者間に争いがなく、原告本人尋問の結果によれば、加害車が西から東に向つて進行し、南から北に向かつて乳母車を押して道路を横断歩行中の原告の乳母車に接触し、原告を転倒させたことが認められる。
二、青任原因
(一)、被告正美
<証拠>を総合すると、本件事故現場は東西に通ずる車道の幅一七、四メートルの道路と南北に通ずるる道路とが交わる交通整理の行われていない交差点内で、北に通ずる道路は幅三、九メートル、南に通ずる道路は幅三、五メートルであり、附近の最高速度は毎時四〇キロメートルと指定されており、東西道路は歩行者横断禁止とされている場所であること、被告正洙は、加害車を運転して時速約四〇キロメートルで西から東に向つて道路の中心線よりを運行し、前方に南北に通ずる道路との交差点があり、右側の対向車線上には西行の車両が停滞していて交差点の右側の見通しは悪いことを約一〇〇メートル手前で認めていたが、そのままの速度で特に交差点右側方向に注意することなく進行中、約一〇、四メートル右前方に原告が乳母車を押して南から北に向つて停滞車両の間から中心線をこえて東西道路を横断歩行してくるのを発見し、急制動の措置をとつたが車体後部を右に振つて滑走し、加害車の後部右側を乳母車に接触させてその衝撃により原告を転倒させたこと、原告は、右交差点を乳母車を押して南から北に横断しようとして西行車線上の停滞車両の間を通つて左方の安全を十分確認せずに東西道路の中心線を少しこえたところ、本件事故が発生したことが認められ、<反証―排斥>。以上の事実によれば、被告正洙は、加害車を運転中前方を注視し、交差点右側からの歩行者のあることを予測してその安全を確認するべき注意義務を怠つた過失により、原告の発見が遅れたために本件事故を発生させたものというべきである。従つて被告正洙は、原告に対し不法行為者として損害賠償の責を負うべきものである。
(四)、過失相殺
前記二(一)の事実によれば、本件事故発生については、原告にも横断歩行禁止の場所を停滞車両の間を通つて横断しようとし、かつ左方の交通の安全を十分確認することなく乳母車を押して歩行した過失があつたものと認められ、損害額算定につきしんしやくすべき原告の過失割合は四割とするのが相当である。従つて原告の損害額には前記三(一)ないし(三)の合計六四三、九〇〇円の一〇分の六の三八九、三四〇円となる。(山本矩夫)